大トリックこそミステリーの華
これぞミステリーの醍醐味。一発逆転大トリック!
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タイトル 著者名 出版社
本陣殺人事件 横溝正史 角川書店
三毛猫ホームズの推理 赤川次郎 角川書店
斜め屋敷の犯罪 島田荘司 講談社
暗闇坂の人喰いの木 島田荘司 講談社
時計館の殺人 綾辻行人 講談社
麻耶雄嵩 幻冬舎


筆者が初めて読んだ和製ミステリー。中学生の時、これを読まなかったら、きっとその後の人生はぜんぜん違ったものになっていたんだろうなぁ。美しい情景の中で展開される凄惨な事件、そして、雪景色の中に響く琴の音と驚愕のトリック。ミステリーマニア間では『獄門島』のほうが評価は高いし、筆者としてもそれは理解できるのですが、どちらか選べといわれれば、やはりこちらに軍配。それほど、強烈な印象を持った作品なのです。


あらすじ:新婚初夜、雪の夜…新郎新婦が夜を過ごす離れの中で起きた怪事件。夫婦は共に刃物で惨殺され、ふすまには赤い血でなすった後が残されている。だが、離れの周囲を取り巻いた新雪の上には、何者の足跡も残されていない上、凶器と目される日本刀も見当たらない。犯人は、そして凶器はどこへ消えたのか? そして、事件発生時刻に聞こえてきた琴の音は何を意味するのか? 難航する事件の捜査に、名探偵・金田一耕助が駈り出されるが…。


赤川次郎はこれを書いただけで偉大です。後に数え切れないほどのシリーズ作品と化した『三毛猫ホームズ』の第一作。ちなみに、シリーズ中で、本格ミステリーといえる唯一の作品だったり。ちなみに、このトリック、あまりにも大胆すぎて、たいがいの人が見破ります。筆者も例に漏れず、早々に看破できました。しかし…やはり、この作品は傑作なのです。なぜか?…それは、読んでからのお楽しみということで。


あらすじ:酒ダメ、女性ダメ、そして血を見るのもダメ!という、全く刑事らしからぬ捜査一課刑事・片山が、どういう因果か女子大学の事件を担当することになってしまった。魅力的、なれど小悪魔的な女子大生たちに翻弄されながら捜査を続けていた時、片山は一匹の猫に出会う。子宮摘出の手術を受けて以来「物思いにふける」ことが多くなったという三毛猫、ホームズ。だがこのホームズ、ただの三毛猫ではなかった。その小さな頭に、他の猫には決して無い、不思議な才能を秘めていたのだ!


ミステリーマニア間では、島田荘司の描くトリックを島田流と称し、そのカッ飛びぶりを話の種にしたりします。その島田流の代名詞とも言われる、究極の密室トリックを擁する作品がこれ。御手洗潔の変人ぶりもイイ感じで、最後まで読者を欺き通します。唯一の欠点は、これを読んでしまうと、他のミステリーのトリックがちゃちに思えることでしょうか。それほどスゴいですよ。


あらすじ:北海道は宗谷岬に、斜めに傾いてそびえる奇妙な館「流氷館」。主である浜本幸三郎が主催したクリスマスパーティーの中、雪に閉ざされた密室で、踊りを踊るかのような格好でナイフを突き立てられた死体が発見される。そして、駆けつけた警察陣を嘲笑うかのように第2の密室殺人が発生する…。この不可能犯罪に、希代の名探偵:御手洗潔が挑むが、彼の行動はおよそ理解のできない奇矯なものだった。ついには、館に飾ってあった人形が犯人だと言い出したのだが…。


古今東西のあらゆるミステリーの内で、筆者が最も愛する作品がこれ。とにかく面白い。本格ミステリーとして、エンタテインメントとして、他に類を見ない圧倒的な迫力を持った名作中の名作。『水晶のピラミッド』と並ぶ、中期島田荘司の代表的作品で、島田荘司がもっとも油ののっていた時期に書かれたことが、作品にとっても読者にとっても、幸せなことだったと言える。…というか、もう、いいから読めよ、って感じです。


あらすじ:断首刑の名所・暗闇坂…、その坂を見下ろすかのようにそびえ立つ、樹齢2000年を越すとも言われる大楠。嵐の翌日、その楠に睨まれるようにして屋根の上で死んでいた男が発見されたのを契機に、楠の周りで不気味な死が相次いでゆく。この楠は、本当に人を喰い殺す魔性の木なのか? この不可解極まりない事件の謎に、稀代の名探偵・御手洗潔が挑む。


『霧越邸殺人事件』と表裏一体の関係をなす、初期綾辻の傑作長編。恐るべき着想の元に構築されたトリックもさることながら、クライマックスにおいて明かされる、ある『仕掛け』はもっと凄い。凄絶なまでに美しいその『仕掛け』は、ミステリーファンならずとも必読と言えます。


あらすじ:建築家、中村青司の手による館、時計館。108個の時計に彩られたその館を訪れた人々に、次々と襲い来る惨事。10年前に死んだという少女の亡霊。そして、時計館の主、古峨倫典が残した奇妙な詩…。様々な謎が交錯する中、鹿谷門実という作家が館に訪れる…。


新本格第二世代のトップランナーにして切り札・麻耶雄嵩。毎回毎回、反則スレスレの仕掛けで読者をだまくらかすその異様な手腕は他では決して味わえない、麻耶だけの醍醐味。その麻耶が、トリックを成立させるため"だけ"のために、専用の村をひとつ丸ごと作ってしまったのがこの作品。ここまでくると、もう好きにしてくれ、と言う感じ。ちなみにこの作品、あまり知られていないのですが『'98本格ミステリ・ベスト10』の第1位です。


あらすじ:弟・亜鈴の失踪と死の謎を追って、地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。四つの祭りと薪能の儀式、蔵の奥の人形、錬金術、嫉妬と憎悪と偽善、五行思想、足跡なき殺害現場、人殺しの手に現れるという奇妙な痣、村を支配する大鏡、襲い掛かる鴉の大群…。銘探偵・メルカトル鮎の語る真相が、世界の構図を塗り替える!
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